ビッグデータとIoTはどのように結びついているのでしょうか。また、その活用がもっとも期待されている分野、AIとはどのような関係にあるのでしょうか。ビッグデータとAIの活用事例、その結びつきをさらに進化させる技術についてご紹介します。

ビッグデータはどう使われる?

ビッグデータという言葉は耳にしたことがあっても、それが実際どのように使われているかについて明確なイメージを持っていない人もいるのではないでしょうか。ビッグデータとはどのようなもので、どういった分野での活用が期待されるのでしょうか。

ビッグデータとは

ビッグデータとは、一般的には「大量でかつリアルタイムに発生する構造化または非構造化データを蓄積し、それを分析・処理するための技術の総称、あるいはそのデータそのもの」と認識されています。

これをさらに明確に定義したのが、ビッグデータを表現した3つのVと言われるものです。

Volume(量)・Velocity(速度)・Variety(多様性)を兼ね備えたデータ群こそが、ビッグデータとして扱われます。Volumeはデータの量とその処理能力を、Velocityは変化の早さとそれに追従できる更新頻度を、Varietyは構造化されていない多様なデータであることを表します。

すなわち、「多様で大量の変化をともなうデータ群とそれを処理する能力」がビッグデータとして定義されるものです。

ビッグデータについての詳しい解説はこちらもご覧ください。
ビッグデータ―解析結果の意外性が社会におよぼすインパクトとは?|Stratus
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ビッグデータ活用が期待される分野

では、このビッグデータはどのような分野での活用が期待されているのでしょうか。

IoTの発展・普及により、現代社会はさまざまなものからデータが得られるようになっています。工場で使われる機器、買い物でよく売れているもの、SNSで注目されているワードなど、あらゆるものからデータを集めることができます。この大量のデータが新たな価値を生み出す可能性を持っているのです。

特に、物流や生産の分野ではビッグデータが熱い眼差しを向けられています。製品や荷物にICタグを取り付けたり、生産ライン各所にセンサーを付けたりすることで、モノの流れを把握することが可能です。これらは生産と物流に関わるさまざまな効率化に結びつく可能性を持っています。

また、新たな価値を生み出す可能性としてもっとも期待度が高い分野が人工知能、AIです。ビッグデータはAIと組み合わせることでさらに可能性が広がります。先程の生産分野・物流分野においても、収集したデータをAIにより解析することで人による解析の数倍、数十倍の効果が得られるのです。

このように、ビッグデータはAIと結びつくことで無限の可能性を持っていると言えるほど、さまざまな活用法が考えられます。

ビッグデータとAIの関係と課題

多くの可能性を持つビッグデータとAIの結びつき。その関係はどういったものでしょうか。

ビッグデータとAIの結びつき

AI研究の歴史は長く、1950年代にはすでに研究が始まっていました。しかし、その研究は何度か壁にあたり冬の時代を迎えては再燃しながら、現代へと引き継がれています。

AIの研究と開発が近年飛躍的に発展したのは、ディープラーニング(深層学習)により技術的なブレイクスルーが起きたことが大きく影響しています。ディープラーニングは、多層構造化したアルゴリズムにより機械が自動的に必要なデータを抽出し学習していく仕組みで、機械学習のひとつです。このディープラーニングには、必要なデータを抽出する前の生データが大量に必要であり、ビッグデータが不可欠なのです。

このように、AIが期待された動作に限りなく近い動きをするためには、機械が学習を積み重ねなければなりません。学習を積み重ねるためには大量のデータが必要です。このことから、ビッグデータの発展がAIの進化を支えたとも言えます。

ビッグデータとAIを活用するうえでの課題

ビッグデータとAIが結びつくことで、大きな可能性が開けました。しかし、そこには課題も残っています。

  • ビッグデータの安全な取り扱い
    多くの企業が求めるビッグデータには、顧客の購買行動に関するものもあります。こういった顧客の情報にはさまざまな個人情報が含まれている場合が多く、それを安全に取り扱う万全のセキュリティが必要となります。企業による個人情報流出が定期的に起きていることから考えても、現状では課題として残っていることがわかります。
  • 膨大なデータに対応できる環境
    IoTは恐るべきスピードで普及しています。それにともない、扱われるデータの量も爆発的に増加しています。この膨大なデータ量に対応できる環境を構築することは、ビッグデータとAIを活用するうえで必要不可欠です。さらに、AIの活用ではリアルタイム性の重要度が高くなっているため、処理速度も求められます。処理速度を向上させるためには膨大なデータに耐えうるトラフィックとサーバーの性能が必要となります。
  • データサイエンティストの育成
    ビッグデータを扱う専門家をデータサイエンティストと言います。ビッグデータとAIを活用していく時代が到来しているにもかかわらず、日本ではデータサイエンティストが不足しているのが現状です。データ分析だけでなく統計学やプログラミングスキルも求められるデータサイエンティストの育成が急務となっています。

ビッグデータとAIの活用事例

ビッグデータとAIの活用にはまだ課題もあるものの、その可能性は無限と言えるほど広く、新たな技術へとつながることが期待されています。ビッグデータとAIを組み合わせることで生まれる新たな可能性にはどのようなものがあるでしょうか。

自動運転

AIを活用した技術としてもっとも注目を集めているもののひとつに、自動車の自動運転があります。個人の運転する自動車が自動運転となるのは交通事故の防止だけでなくCO2排出量の削減においても効果が期待されています。そして、もっとも自動運転の実現が期待されているのは、物流を支えるトラックについてです。運送業界では人手不足が深刻な問題となっており、自動運転が実現することで労働環境の改善につながることも期待されています。

予知保全

機械の保全において、修理が必要になりそうな箇所を事前に点検・修理することを予防保全と言います。これにビッグデータとAIを活用することで進化させたものが予知保全です。過去の保全データをAIが解析し、故障の前兆や故障時期を導き出します。これに従って保全活動を行うことで、機械の停止を防ぎ生産性を上げることができます。

AIアナウンサー

AIアナウンサーはすでに世界中で活躍しています。AIにより、限りなく人の話し方に近い滑らかな文章の読み上げが可能になりつつあるのです。緊急時の放送に瞬時に対応でき、繰り返しのアナウンスでも活躍できます。また、言い間違いがないこと、視聴者に合わせて聞き取りやすい声質や速度にカスタマイズできる点も注目されています。

ビジネスアナリティクス

ビッグデータとAIによる売れ筋の分析や予想は多くの企業で活用されています。そういった商品ごとの分析結果ではなく、企業としての進むべき道を示すコンサルティングまでをも行うのが、AIによるビジネスアナリティクスです。企業内でのデータだけでなく、社会全体の動向やデータを合わせることで、社会の流れを予測し企業としてのアクションを提示します。さらにビッグデータが充実することで、人に変わる知的活動も行える段階まで、AIによるビジネスアナリティクスは進化しています。

ビッグデータとAIの関係をさらに進化させる

近年、ビッグデータとAIの関係をより高度なもの、価値あるものに進化させる技術が注目されています。それがエッジコンピューティングです。

エッジコンピューティングとは、すべてをクラウドに送信するのではなくエッジ、すなわち現場側で処理できるものを分別し、クラウドとエッジで処理を分担する技術です。

このとき、すべてのデータをそのままクラウドに送るのではなく、エッジで最適化してから送ることでトラフィックの高速化が図れます。また、リアルタイム性が重要な制御に必要とされるデータはエッジで処理することで、より洗練された必要なデータだけがビッグデータとして蓄積されます。これはAIの学習精度向上にもつながり、よりAIを進化させることに貢献します。

このように、これからのビッグデータとAIの活用において、エッジコンピューティングは早さや正確さを向上させる注目の技術です。エッジコンピューティングの登場と進化により、ビッグデータとAIも進化したと言えます。

ビッグデータはさまざまなデジタルテクノロジーと結びつく

ビッグデータとAIの結びつきと、それをさらに進化させるエッジコンピューティングについてご紹介しました。

ビッグデータはすでにあらゆる分野で活用され、AIとの結びつきには大きな期待が寄せられています。そして、その結びつきを、さらに進化させるものとして注目されているのがエッジコンピューティングです。ビッグデータとAI、そしてエッジコンピューティング。この3つが結びつくことで、活用の幅がさらに広がり新たな価値を生み出す可能性は大きくなっています。

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