この4月から多くの学生が社会人として旅立ったと思います。今年は新型コロナウィルス感染症により、世界中で生活に大きな影響が出ました。卒業式や入社式、そして卒業旅行などもキャンセルになった方々が多かったと思います。ストラタスでも、対面でのミーティングをオンラインミーティングに変更するなど、今までの仕事のやり方を変えて対応しています。不自由さはありますが、今までできないと思っていたことも、やってみると何とかなるものです。そして新しい形でのコラボレーションも生まれています。何十年も前ですが、私が社会人になったころは、このようなテクノロジーが利用可能になるなど思ってもいませんでした。

新社会人の皆さんは、未来予想図をどのように描いているでしょうか。きっと入社試験時には、入社したら経験してみたいことや将来の希望を語る機会があったでしょう。スペシャリストとして専門領域を極める希望もあるでしょう。グローバルなビジネス経験をしたいという希望もあるかもしれません。会社の幹部となって、将来は業界も含めてリードしていきたいという希望の方もいるかもしれません。自分の未来予想図を描く際に、参考になるのは社会の未来予想図であり、企業・業界の未来予想図です。たぶん、多くの新社会人は、就職活動時に世の中の未来予想図と自分の適性を考えて、業界や職種を検討したことでしょう。

よく言われることですが、国にとっては人口動態が最も信頼できる長期予測です。現在の年齢別人口構成が明らかな中で、出生・死亡・国際人口移動をパラメータとして計算すると、比較的精度の高い長期予測ができます。人口推計の出発点である2015年の日本の総人口は同年の国勢調査によれば 1 億 2,709 万人であったようです。出生中位推計の結果に基づけば、この総人口は、以後長期の人口減少過程に入ります。2040年の 1 億 1,092 万人を経て、2053年には 1 億人を割って 9,924 万人となり、2065年には 8,808 万人になるものと推計されています。出生率の向上が実現し積極的な移民政策に転じれば、この数字は上振れしますが、その結果を生み出すための社会活動や政策自体も未来予想図に含まれるでしょう。

人口動態よりは精度が落ちますが、未来予想図を描く際によく検討されるのが技術進化の光と影です。自動運転車によるタクシーや物流機能、多くの人が楽しむ宇宙旅行、遺伝子操作や医療技術の発展による長期健康寿命の獲得が光の部分の例です。また、影の部分として、ロボット技術の軍事転用や情報の流通によるプライバシーの維持困難性などがあげられます。また、地球温暖化問題は差し迫った問題でもあります。実はIT(Information Technology)の世界では、半導体技術の未来予測を示したものとして有名なムーアの法則というものがあります。「半導体チップの集積密度は1~2年間でほぼ倍増する」というものです。1965年に発表されました。ムーアの法則は、半導体メーカーであるIntelの創設者の一人である、ゴードン・ムーア(Gordon E. Moore)が提唱した経験則です。理論的・技術的な裏づけが特にあるという類のものではなかったのですが、現在に至るまで現実の事態とおおむね合致しており、21世紀に至ってもなおよく言及されています。

インテル社は、自社のプロセッサ技術を数年先まで、実際に数世代にわたり開発計画を公開しています。時間軸として未来予想図というよりは短く、技術の実現性も高く、我々はこの開発計画をロードマップと呼んでいます。同様にストラタステクノロジーを含む多くのITベンダーは自社製品のロードマップというものを作成しています。具体的な製品計画の詳細であったり、それぞれの製品の出荷時期の市場ニーズや背景であったりします。

具対的な例をあげますと、IT業界ではこれから企業のディジタルトランスフォーメーションが進むと考えられており、その中でストラタステクノロジーはエッジコンピューティングの技術で市場をリードしていこうと考えています。現在はEdge Compute1.0であり、セキュリティや管理機能や接続性が課題です。21年からはEdge Compute2.0に入っていき、オープンシステムを使用してソフトウェアで定義されたものになっていきます。2025年ごろにはEdge Compute3.0になり、リアルタイム性や強靭性が加わります。少し先になりますが、2030年ごろにはEdge Compute4.0として自律型のエッジコンピュータが主流になります。このように市場が進化するという理解のもとに、最適な製品をそれぞれの時期に開発する計画に落とし込んで、製品ロードマップが作られます。

このような未来への想定は確定的なものではなく、その変化により、時々に製品のロードマップは変化します。つまり、未来への認識は未来の可能性を指示したものです。我々がビジネスを遂行する際の道しるべとなるものであり、これから市場においてどういう活動をしていくのかということを考える際の補助線とも言えます。

今年、新社会人となる方々も未来予想図を描いてみませんか。人口動態をはじめとする公的な情報、企業の立脚する産業の動向、そして企業自体の事業計画など参照するものは多くあります。もちろん、未来予想図を描いてもその通りに進むことは決して多くありませんが、自分の未来がどうなるのか、これからどのように社会人生活をしていくのか、このようなことを考える補助線になることは間違いありません。

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