デビッド・ローレロが以前 Network World(英語)に投稿したとおり、製造・加工企業が業務の中断を最低限に抑えながらエッジベースの産業制御テクノロジーを最大限に活用するには、段階的なアプローチを採用する必要があります。製造・生産プロセスが実際に行われているエッジに産業制御インテリジェンスを移動すれば、ビジネス効率と俊敏性を改善できる可能性を大きく広がります。さらに、工場の現場でリアルタイムのアナリティクスを実施できるようになるため、業務最適化の可能性は無限です。これは運用技術 (OT) の専門家だけに関連することではありません。ARC Advisory Group による最近の市場レポートによれば、調査対象となった産業オートメーション ユーザの 91 % は、エッジにおけるシステムと接続を改善することで、リアルタイムの意思決定が改善すると述べています。アーリーアダプタ (早期導入者) は、産業分野のモノのインターネット (IIoT) 戦略の大枠の中でインテリジェンスをエッジに積極的に移動しています。では、全員がエッジ コンピューティングに飛びついていない理由は何でしょうか。

変化はリスクにつながる

大きな課題のひとつは「マインドセット」です。 製造企業はリスクを避ける傾向にあります。製造プロセス中断のリスクがあるとみなされるものはすべて、強い抵抗にあいます。これで、非常に多くの工場が、サポートが終了したアプリケーション、オペレーティング システム、ハードウェアなどの老朽化した制御システムで溢れかえっていることの説明がつきます。何があっても生産ラインを稼働させ続けなければならない OT 担当者にとって、変化すなわちリスクなのです。一部の担当者にとっては、インテリジェント エッジ システムに必須のデータ フローを処理するネット接続でさえもリスクです。単一のプロセスのみを実行する独立システムはハッキングが困難です。専用のデスクトップ ワークステーションやサーバで単一のアプリケーションやマシンを実行することが多いのは、これが理由です。当然これは非効率的ですが、多くの OT 専門家は、これをリスク抑制のための対価だと考えています。

段階的アプローチ

では、製造企業がこのような制度的な障害を克服し、インテリジェント エッジのメリットを活用するためには、どうしたらよいのでしょうか。一言でいえば「段階的に行うこと」です。エッジ戦略の構築は、複数のステージで起こる進化ともいえ、各ステージは、直前のステージの上に積み重ねられます。さまざな製造分野の会社にかかわってきた私の経験によれば、このプロセスには4つのステップがあります。

  • ステップ 1: 産業制御システムを近代化する。 インテリジェント エッジへの第 1 の基本的なステップは、老朽化し、耐用寿命が尽きた専用の制御システムを近代的なテクノロジーに置き換えることです。最新かつ標準ベースのフォールト トレラント ハードウェアおよびソフトウェアを導入し、仮想化を活用してサーバを統合することで、効率、信頼性、可用性の面でただちにメリットがあると同時に、より高度なエッジ コンピューティング機能の基盤を築くことができます。事実、導入が簡単で、リモートで管理、保守、更新、修理ができるシステムを導入することは、IT スキルをもった人員が限られているか、そのような人員がいない OT 組織にとって非常に重要です。
  • ステップ 2: システムを接続する。 インテリジェントなエッジ戦略の要は、エッジにおけるデバイスとセンサーの間で双方向のデータ交換を行えるようにすることです。また、エッジでの接続を確立すると、履歴データを収集してクラウドに送信し、非リアルタイムでアナリティクスを実施して重要なトレンドを見つけ、ビジネス プランを立てることもできます。セキュリティと安定性の懸念を払しょくするには、エッジ インフラストラクチャが、適切なレベルのエンドツーエンド セキュリティを確保できるよう設計されていることが重要です。これには、工場全体の産業制御システムへのアクセスを制御する物理的なセキュリティと、社内ネットワークと外部ネットワークでデータ アクセスを保護するネットワーク セキュリティの両方が含まれます。
  • ステップ 3: リアルタイム アナリティクスを可能にする。 データ アナリティクスを産業制御システム内に導入することは、おそらくインテリジェント エッジの最大の潜在的メリットです。センサーからのデータをリアルタイムで監視して分析できるため、オペレータは問題が発生する前にそれらを察知し、製品の品質や生産中断に影響を与えそうな問題に事前に介入することができます。
  • ステップ 4: 産業制御を自動化する。 最終的に、エッジ システムには完全自動生産プロセスを実現する能力があります。人工知能により、これらのシステムは、広範なセンサー データのリアルタイム分析、効率最適化のための介入、問題の回避などを実行します。人間の操作は必要はありません。自動運転車に事故を減らし通勤時間を短縮する可能性があるように、自動工場は、製造・加工産業において生産性を最大限に高め、コストを抑えるための手段として非常に有望です。

小さく始める…ただし今すぐ始める

インテリジェント エッジのプロセスを開始する場合、限定的な実証実験プロジェクトから少しずつ始めることは非常に合理的なアプローチです。製造制御インフラストラクチャの近代化と仮想化には、簡素化、そして信頼性と保守性の向上という付加価値があります。さらに、将来的に強力な機能を導入するための基盤にもなります。重要なのは、今すぐ始めることです。グローバルな競争がますます激化する中、本当のリスクは何も手を打たないことです。