ストラタスの会計年度は3月に始まります。つまり、一般的な日本企業よりも1か月早く始まるわけです。今年の3月からの新会計年度は2020年の2月に終了しますので、FY20(Fiscal Year 20)ということになります。今まさしく昨年12月から今月にかけては、FY20のビジネス計画、つまり売上げ目標や予算の最終的な調整をしているタイミングです。

私自身は外資系企業日本法人全体をリードしたり、事業部をリードする経験としては、日本ストラタステクノロジーで3社目になります。それぞれの会社の歴史や日本法人の世界におけるポジションにより、計画立案のプロセスは異なりますが、概して共通の部分が多いと感じます。

共通部分であるというのは、基本的に経年で売上の成長や利益率の改善を狙った計画を立案するということです。まずはビジネスが立脚している市場が成長しているのかどうか、どの程度の成長率なのかということを参照します。また、通常は市場でのシェアを獲得する方向で計画を立案します。細かくは製品ラインやサービスカテゴリ毎に売上予算をたてて、その集計をすることになります。新製品や新サービスを投入することが計画されている場合は、不確定要素の一因になるのですが、やや積極的な見通しになることが多いです。全社での翌期計画(トップダウン)と、各地域での計画の合計(ボトムアップ)はかならずしも一致しません。そして、そのギャップを埋める議論や交渉の中で、投資や費用の増減のことも関連して話し合われます。

売り上げ目標の設定時に私が留意するのは、第1に現場が達成しようと前向きに考えるものになっているかということです。つまり、達成することは簡単ではないかもしれないが、社員の前向きな活動によって達成の可能性があると思える範囲にあるかということです。第2に達成するためのリソース(営業その他の人員、マーケティング予算、製品の開発計画等)が妥当であるかということです。効率化はある程度想定しますが、売上計画達成のために必要なリソースを確保することなしには、計画自体が絵に描いた餅になってしまいます。

また、日本法人のボトムアップの計画を立案する際には、なるべく根拠を具体的にするように努力します。例えば、販売パートナ別の売上増減を検討します。過去に投資をした成果を期待して成長軌道を想定するパートナもいます。前年に特別な案件で多大な売上の発生したパートナに関しては、その案件分を考慮して翌年の売上を想定をします。

さらには、製品毎の売上台数やライセンス数を想定します。新製品の売上を想定するのは容易ではありませんが、市場規模や過去の製品の売り上げ推移を参照しながら想定します。ハードウェアに関しては製造部門のキャパシティも考慮する必要があるので、計画は製造部門や物流部門とも事前に共有されます。

現時点では最終的な調整段階ですが、製品関連では産業別には産業オートメーション(製造業や社会インフラを中心にした領域)分野での売上成長を大きく見込んでいます。本年の第3四半期でも製造業の生産管理や工程管理の用途で、当社の無停止型のサーバやソフトウェアが評価されて採用された案件が多く見受けられました。また、鉄道関連や電力関連でも実績が積みあがっています。昨年発表しましたエッジコンピュータのztC Edge(ジーティーシー エッジ)に関しては、製品の強化が計画されており、後半に向かって力強く成長することを想定しています。また、サービス関連では、既存の決済系のソリューションを中心としたビジネスを維持強化しつつ、新分野でのビジネス開拓も想定しています。

我々は自分が影響を及ぼせる範囲で計画を遂行するしかないのですが、実際にはその外側で市場環境が激変してしまうこともあります。最近では2008年のリーマンショックはその具体的な例です。昨年末には株価の乱高下がありましたし、米中の貿易摩擦はなかなか出口が見えず、日本経済への影響も大いに考えられます。日本の貿易相手国としては輸出・輸入ともに米国と中国が一位と二位です。この強大な経済圏における需要の推移が多くの日本企業の業績を左右しており、当社のように設備投資の動向に業績が左右される企業への影響は大きいと言えます。

“Stop worrying about things you can’t control !” マクロの市場環境は変わる可能性はあるのですが、自分がコントロールできないことを心配しても仕方がありません。その変化を注視して対応する心構えを持ちながら、市場環境を所与のものとして淡々と計画を遂行するように腹を決めるしかありません。