IoTプラットフォームとはどのようなもので、どういった種類があるのでしょうか。IoTプラットフォームによって何ができるのか、どのような点に注意して選ぶべきなのかを解説します。

IoTプラットフォームとは

IoTプラットフォームという名前は頻繁に耳にしますが、それが何をするためのもので、どのような機能を持っているのかは曖昧な理解のままの方もいるのではないでしょうか。IoTプラットフォームの役割と機能について簡単に説明します。

IoT運用のための土台

IoT(モノのインターネット)によってスマート化されたさまざまなもの、たとえば都市や工場、家電や自動車などは現実のものとなりつつあります。IoTでは、接続された機器すべての情報がやり取りされるため、情報量は膨大です。さらに、その規模が大きくなればなるほど、取り扱われるデータ量も増えるとともに多種多様になっていきます。

このとき、こういったビッグデータを運用するための土台が必要となります。この土台となるアプリケーションやソフトウェアこそが、IoTプラットフォームです。

データの運用とは、データを収集・処理・活用し、サービスとして提供するところまでを含みます。機器やセンサーから送られたデータを、ネットワークを通して集め、エッジやデータセンターで処理し、目的に合わせて使うためのツールまで。これらすべてをIoTプラットフォームと呼ぶことができるのです。

このことから、IoTプラットフォームはIoTの使い方によってさまざまな形があり、その役割も幅広いものであることがわかります。

IoTプラットフォームの機能

IoTプラットフォームと一言で言っても、提供しているベンダーやそのシステムごとに機能は多種多様で、できることも異なります。幅広い可能性を持つIoTを運用するための土台であることから、環境によってできることも大きく変化するのです。

これを考慮したうえで、IoTプラットフォームの機能は次の3つに大きく分けることができます。

  • データを収集する通り道(データトラフィック)
  • データを蓄積する倉庫(データレイク)
  • データを運用するための工場(ソフトウェア開発環境)

たとえば、データをプラスチックの原料だと考えてみます。センサーはこのプラスチック原料を作っている工場に例えることができます。

プラスチック原料はそこから出荷され、船や貨物列車、トラックなど、多様な交通網で運ばれます。荷姿や量、運搬距離によって適した運び方があり、そのときどきで選ぶ必要があります。データの場合も同様に、データの質によって通信システムに向き不向きがあります。これが1つ目のデータを収集する通り道の役割です。

次に、運ばれたプラスチック原料は必要なときまで倉庫にストックされます。大規模なもの、小規模なもの、自動化されたもの、室温管理されているものなど、倉庫にも種類があります。データレイクの場合も、機能的にストックするためのさまざまな種類があります。これが2つ目のデータを蓄積する役割です。

必要に応じて倉庫から出されたプラスチック原料は、プラスチック製品を作っている工場へと運ばれます。プラスチックにはさまざまな種類があり、それぞれ適している製品の種類があります。PETはペットボトルに、ポリスチレンは発泡スチロールに、ナイロンは繊維に、ABSは車のバンパーへと姿を変えます。すべてプラスチック製品といえますが、それぞれ材料や成形の方法、使い道がまったく異なります。このように、使用目的にあわせて多種多様な原料を製品化する工場が、3つ目のデータを運用する役割と考えることができるでしょう。

データは双方向のやり取りによって有効活用される面が大きいため、一方通行の製品に例えるのは少し無理もありますが、わかりやすいものに例えるとこのようになります。

IoTプラットフォームは、これら3つの機能のうちの1つ、または複数、3つ全てを兼ねているものもあります。

IoTプラットフォームの種類

このように、IoTプラットフォームの役割は大きく3つに分けて考えることはできても、その機能は非常に多種多様です。各社からさまざまな種類のIoTプラットフォームが提供されており、その数700社以上とも言われています。

それぞれさまざまな機能を有し特色が異なりますが、「データをどこで処理するか」という観点で分けると、再び3つに大別できるでしょう。

IoTクラウドプラットフォーム

クラウドコンピューティングによってデータを処理する方式が、IoTクラウドプラットフォームです。

データをクラウド上に存在するデータレイクにストックし処理できるため、ビッグデータの取り扱いに適しています。また、どこからでもアクセスできる点もメリットで、多くのIoT事業者が採用しているIoTプラットフォームでもあります。

自社で高額な投資を行ってサーバーを構築・運用する必要がなく、コストパフォーマンスに優れています。また、サーバーが別の場所にあるため、災害時の事業継続性も担保しやすいことも特徴です。

IoTフォグプラットフォーム

クラウドが災害時の事業継続性において優れているとはいえ、データがストックされるサーバーが無事でも使う側の機能が停止していては事業活動の継続は困難になります。また、データトラフィックが一極集中してしまうと、送受信のスピードが低下したり、接続できなくなったりする可能性もあります。

こういったリスクを減らす目的で生まれたのがフォグコンピューティングで、フォグコンピューティングを使ったIoTプラットフォームがIoTフォグプラットフォームです。

データを送るデバイスとクラウドとの間にもストレージを設け、データを処理する場所をクラウドの他にも分散させます。分散されたデータはデータが生成される場所の近くで処理されるため、リアルタイム性も確保できます。一方で、自社でストレージを準備する必要があり、そのためにサーバー構築が必要となる場合もあります。

クラウド(雲)に対して近い場所にあるという意味から、フォグ(霧)と名付けられています。

IoTエッジプラットフォーム

進歩したIoTプラットフォームとして最も注目度の高いのが、このIoTエッジプラットフォームです。IoTエッジプラットフォームにはエッジコンピューティングが応用されています。

エッジコンピューティングは、センサーや機器からのデータを、クラウドに送るか現場の最前線で処理するか、ユーザが処理の分散を行うことでパフォーマンスを最大化するコンピューティング技術です。

これだけだとフォグコンピューティングとの違いがないように思えますが、実際にはデータを処理している場所と方法が異なります。フォグコンピューティングは現場側にデータの保存場所を設け、そのデータをクラウドまたは自社サーバーにあるアプリケーションによって処理します。一方でエッジコンピューティングは、基本的にそれぞれのデバイスにアプリケーションが存在します。それぞれのデバイスで処理が行えるため、より近い場所との間でデータの送受信が行われることになります。これによりさらにタイムラグは小さくなります。

このように、エッジコンピューティングはフォグコンピューティングの分散性をさらに進歩させたものです。IoTを運用するうえで、もっともスピードと事業継続性の両立を期待できるのがIoTエッジプラットフォームといえるでしょう。

IoTプラットフォームを選ぶ上で考慮すべき3つのポイント

では、IoTプラットフォームの役割とおおまかな種類を踏まえたうえで、どのような点を考慮して選ぶべきか、3つのポイントをご紹介します。

セキュリティ面での安全性

IoTとは、その言葉の中に含まれるようにインターネットへの接続が前提となります。インターネットへの接続がある限り、セキュリティ面での安全性は最も重要視しなければならない項目です。

大規模な事業モデルにおけるIoTプラットフォームに脆弱性があり、サイバー攻撃を受けたとしたら、情報漏えいが起きる可能性があります。こういった点を考えると、現場側でデータの処理を行うIoTエッジプラットフォームはセキュリティリスクが低いといえるでしょう。

接続の安定性とスピード

データの送受信によって成り立つシステムが運用されている限り、ネットワーク接続の安定性は重要な項目です。また、処理されたデータによって制御される設備の精度を上げるためには、データ送受信のスピード、タイムラグの少なさも重要となります。こういった点でも、エッジコンピューティングを導入したIoTエッジプラットフォームが有利といえます。

デバイスの拡張性

もう1つは、生産設備の増設や稼働拡大などによるIoTデバイスの増加があった場合、IoTプラットフォームもそれに合わせた拡張性があるかどうかです。

この点に関しては、データをクラウドで一括処理するIoTクラウドプラットフォームが有利です。1,000台を超えるような数のデバイス拡張に対してエッジで対応するとなると、大きなコストがかかることになります。

拡張した場合にもクラウドとエッジの使い分けができるIoTプラットフォームを選ぶとよいでしょう。

製造業のIoTプラットフォームはどう使うかが重要

IoTプラットフォームの役割と機能、どのような分類があるかと選ぶ際のポイントをご紹介しました。IoTプラットフォームは、「どのようなものを使うか」「どのように使うか」を十分に考慮して選ぶ必要があります。そのとき、セキュリティ・接続性・拡張性についても検討したうえで選ぶようにしましょう。

参考:

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