シュナイダーエレクトリックのピーター・マーティン博士は、それを「まっさらな瞬間」と呼んでいます。つまり、すべてを白紙に戻してやり直す時期だということです。そして博士はおそらく正しいでしょう。産業オートメーション分野を少なくとも 30 年規定していたモデルと象徴が、試練のときを迎えているのです。伝統的な階層的パデュー リファレンス モデル ー クローズドループ制御のレベル 1、人による監督制御のレベル 2、運用と MES のレベル 3、ERP のレベル 4 など ー は、役割を十分に全うしてきました。しかし、私たちは、これが示すものを文字どおりにとらえすぎていたかもしれません。たとえば、それが暗に示す境界が、物理的な形をとる分離された独立ネットワークであると主張すべきではなかったのでしょう。

しかし、現状では、完全に相互接続されたメッシュ、水平サービス バス、クラウド、あるいはフォグ (フォグには実際にエッジがあるのでしょうか?) のようなもののようです。高度な分析は、パデュー モデルの「上部」のレイヤーに留まる傾向がありました。今ではこれが、メッシュ、クラウド、フォグ、その他諸々の中で上下に分散されるようになっています。構造を整え直し、頭を切り替えて、完全に接続された企業体制について考える時期がいよいよ到来したのかもしれません。本年オーランドで開催された、第 21 回 ARC インダストリーフォーラム(英語)のイベントのテーマは「変革する産業: デジタルエンタープライズの実現」でした。そして今回、800 人を超えるソートリーダーシップ、ビジョナリ、半信半疑のエンド ユーザ、熱心なサプライヤが集まり、産業オートメーション分野の向かう先と、目的地に到達したときの姿について話し合いました。

以下に、参加者の考えの一部を紹介します。

IIoT – Industrial Internet of Things (産業分野のモノのインターネット)

数多くの見込み、ベンダの熱意、そしてマスメディアの活動が見られますが、以下の事柄に関する質問が挙がると、現実に直面することになります。[1] サイバーセキュリティ – 「モノ」そのものに対する攻撃、または大量の乗っ取った「モノ」を使用した、接続されている他の対象に対する攻撃、[2] 相互運用性とプロトコル – OPC、OPC UA、MQTT のいずれを採用するか、[3] 組織への影響 – 誰が何を所有し、メンテナンスするか。OT (Operational Technology: 運用技術) スタッフは、大規模なメッシュの「エッジ」で、特に、レガシー システム、トランスミッタ、アプリケーションを接続したときの、あるべき姿についても気づき始めています。スマート ゲートウェイ向けに要求されるシンプルで信頼性が高い連続可用性プラットフォームにとっては、またとない商機が存在するでしょう。そして、ストラタスはまさにそのような「always-on」プラットフォームを提供しており、しかもメンテナンスは IT スタッフ以外でも行えます。

ARC は、実施分野(英語)を設定しており、彼らが持つ影響力と洞察力を用いて、この新しいソリューション分野を案内してくれます。

サイバーセキュリティ

もちろん、サイバーセキュリティを問わずして IIoT を語ることはできません。イノベーション ショーケースでは 11 ものサプライヤが、ハードウェア、ソフトウェア、何らかのコンサルティング サービスのいずれかの形でサイバーセキュリティに取り組んでいました。

www.nozominetworks.com
www.claroty.com
www.indegy.com
www.pas.com
www.veracitysi.com
www.verveindustrial.com
www.ultra-3eti.com
www.bayshorenetworks.com
www.secmatters.com
www.securicon.com
www.nextnine.com

過去数年間にわたり、ISA は産業制御システム セキュリティの標準化作業、ISA99 標準プロジェクト(英語)への参加を呼びかけてきました。プロジェクトのメンバーと出資者は、今回の ARC で存在感を示し、積極的に発言していました。彼らは引き続き、ベンダやユーザの視点からの意見を聞きたいと考えています。

また、国土安全保障省のマーティ・エドワード氏が、非常に興味深い見解を述べました。エドワード氏は、産業用制御システム サイバーセキュリティ緊急対応チームの指揮を執っています。そして、セキュリティ テクノロジーの普及、評価、導入を行いつつも、[1] 自社の最も貴重な宝、つまり会社の機能を停止させてしまうような最重要ワークフロー、資産、生産ユニットを慎重に特定し、[2] それを接続から外すように、と強調しています。なぜなら、ハッカーは会社への接続を試み、その資産を探し、可能であれば遠隔からその資産に接続する方法を見つけてしまうからです。

繰り返しますが、その資産は独立して稼働し続ける必要があるため、シンプルで信頼性が高い連続可用性プラットフォームにとって、そこに商機があるように思えます。

IT と OT の集約

IT 環境とプラント現場にいる OT スタッフとの間には、いまだにかなりのせめぎあいがあります。そしてこれは、その IIoT / ネットワーク / クラウド / フォグ / などのエッジで最も目立って発生しています。誰もが認める運用分野の専門家や熟練スタッフは、プロセスや個人の安全にかかわるものは OT ドメインの中に置いておく必要があると主張しています。ガス供給システム、エンジニアリング製品 (圧延金属または鍛造金属) における情報統合、そして重要なツールと測定機器へのアクセス追跡の安全、セキュリティ、および可用性について、カスタマ エクスペリエンス部門からそのような感想を聞きました。MES および自動システムにおける専門家は、リアルタイム制御に近づけば近づくほど、クラウドから遠ざかる必要があると総括しています!

拡張現実

スタートアップ企業も確立したサプライヤも、自社全体で、こうしたすべての「モノ」、分析、そして専門家から得られる情報を、プラント現場を歩き回りながら自分の視野に直接映し出す方法を見つけ始めています。バイザーを通して、またはスマート タブレットで、ボイラー、サブステーション、倉庫のビューを見ながら、画像上に重ねて表示されたゲージやハイライト、手順を確認します。遠隔地の専門家のビデオ画像や画面の内容を、まさに目の前にあるバイザーのフィールド上に映し出しながら、また、同じ画像を共有しながら対話します。拡張現実は、Google Glass が一般向けに提供しようとしていたものを、ついに産業界に提供しているのかもしれません。詳しくは、www.daqri.comwww.ptc.com/augmented-reality (共に英語サイト)をご覧ください。

手順管理

この分野での興味深い成果は、ISA88 のバッチ プロセス環境に由来するレシピ、プロセス、機器のモデルを、精製所、化学プラント、さらに核施設などの、より連続的なプロセス環境に適用しようとした顧客から生まれました。連続プロセス環境において、大規模な環境変更や製品のカットオーバー (大きな混乱を伴う取引) があるときには、いつでも従うべき手順があります。そのほとんどは、紙の書類で管理されてきたか、または運用者自身の手に委ねられてきました。しかし、このやり方には不安を感じざるを得ません。特に、その場しのぎのやり方で核施設を運用することを考えるとぞっとします。そこで、ISA の SP106 プロジェクト(英語)では、連続プロセス オペレーション向けに、手順自動化のモデルと方法の確立に懸命に取り組んでいます。この標準化作業についてのセッションがあり、手動と自動の手順が混在する環境に対応するためのソフトウェア製品を開発しているベンダさえもありました。

新しいモデル

また、IIoT とクラウドが広く浸透している 階層的パデューモデルに課題を突き付けているだけに留まりません。マーティン博士が「まっさらな瞬間」という見解を述べたとおり、エクソンモービル、ロッキードマーティン、サウジアラムコ は、The Open Group を通じて、広範な横並びのサービス バス アーキテクチャを中心として構築されるプロセス自動化のための全く新しいモデルを検討する取り組みを行っています。今後の展開から目を離さないでください (そして、こうした企業が、その新モデル構造に進んで貢献してくれる会社を探していることも念頭に置いてください)。

ベンダ: イノベーション ショーケース

サイバーセキュリティ関連の製品やサービスに取り組んでいる前述の 11 のベンダに加えて、いくつかの会社が果敢にも [1] 新しい PLC / Process Controller ハードウェア パッケージ(英語)、[2] 新しい Web ベースの SCADA(英語) 製品 を、かなり革新的なライセンシング モデル付きで紹介していました。また、両者ともシンプルで、信頼性が高い連続可用性プラットフォームを活用できるかもしれません。

主なポイント – 参加者の見解

ARC は、参加者に主なポイントと感想を述べてもらい、録画して編集した短いビデオも作成しました。こちら (www.youtube.com/watch?v=AtCAWEEKJWo) (英語動画)をご覧ください。

「未来はすでにここにある。ただ、均等に配分されていないだけだ」 – ウィリアム・ギブソン