製造運用上の課題は、すべての業界で山積しています。上下水道業界も例外ではなく、同様の課題に直面しています。利益目的で事業を運営する多数の製造会社とは異なり、上下水道業界には、官営組織、および民間企業が運営するコスト センターという 2 種類の事業体があります。プロセスそのものは一見シンプルで、水をろ過したら、次に微生物と化学薬品を使って処理するだけですが、化学薬品を使用するプロセスは難易度が高く、微生物を使用するプロセスは、ほとんど芸術の領域です。また、2 種類の事業体の推進力が異なることが原因で、ビジネス モデルには本質的な問題があります。

上下水道インフラ投資を戦略的に計画し、最新テクノロジーを導入して既存資産の運営と管理をアップグレードすることが極めて重要です。業界が対応すべき課題と問題には以下のものがあります。

  • インフラの老朽化、水供給への需要の高まり、気候変動の影響
  • 世界の多くの地域における、整備されていない、または非効率的な下水道インフラ
  • 緊縮予算や経済不安の中での、大規模プロジェクトの資金確保
  • 民営化および官民連携 (PPP) で、全ステークホルダーからの新しい要件を満たすために必要な、既存システムからの効率的な移行
  • 物理的セキュリティとサイバーセキュリティに対する懸念の高まり
  • 高齢化し縮小しつつある労働力に対する要求の増加と、それに関連した知識、経験、スキルの喪失
  • 運用コスト全体で大きな割合を占めるエネルギー コスト

先進国における上下水道業界の使命は以下のとおりです。

  1. 高品質の飲料水を、手頃な料金、信頼性が高く持続可能な方法で処理し、輸送すること
  2. 下水と雨水流出水を集めて処理すること

業界は重大な問題に直面しています。また、自治体は運用を継続するための課題を解決する必要があります。インフラのメンテナンスは他の政府プログラムと優先順位を争わなければなりません。その結果、インフラの劣化が急速に進んでおり、将来再建しようとすれば、コストは現在よりも高くなります。2013 年、米国 EPA は、今後 20 年間に渡りアメリカ国民のために安全な飲料水を確保する費用はインフラだけで 3,840 億ドルに上ると発表しました。業界側も同様の課題に直面しています。なぜなら、水処理は収益に結びつかないからです。水処理は事業コストであるため、「削れるものなら削る」というアプローチになります。

多くの場合、水業界における情報管理と水道網は隔離されています。制御システムはビジネス システムに統合されていません。部署や部門は独立して運営されています。ビジネスと運用のアナリティクスは導入されていません。意思決定は、最新データではなく、経験と「口伝えの知識」に基づいて行われています。戦略的計画と意思決定ではなく、その場しのぎの対処と修理が行われているのです。その結果、組織は限られたリソースを、問題や事故の予測と防止ではなく、行き当たりばったりの方法で被害を最小限に抑えることに集中させています。

組織は最新のスマート製造テクノロジーを操るスキルを持つ人材を集めると同時に、その技術を従業員に教育しなければなりません。現在、多くのプロセスで業務を担当している人材の約 5 割は経験豊富なベビー ブーマー世代で占められていますが、彼らの退職が近づいています。運用技術とその運用は複雑なので、実務経験者が退職して減ってしまうと、業務の品質とアップタイムに大きく影響します。組織は知識を収集して管理し、新しいワークフロー プロセスを導入する必要があります。大部分がミレニアル世代で構成される若い人材は、柔軟なアジャイル生産における課題に対処するための新しいツールや最先端のワークフローを必要とし、期待しています。ワークフローをユーザーの日常業務のガイドラインとして使用することでアップタイムと品質を継続的に担保し、コラボレーションを促進し、事務処理を削減して、工場のデジタル トランスフォーメーションを実現します。たとえば、モビリティによりあらゆる場所からあらゆる情報へ安全にアクセスすることが可能になります。業務およびメンテナンスを一元管理するセンターを導入すれば、専門家がリモートでログインして問題を解決できるようになります。その結果、業務とメンテナンス作業の効率性が向上し、作業環境が改善され、ダイナミックな職場環境を実現できます。

最新の OT/IT インフラストラクチャで課題を解決する方法

主要業務にデジタル トランスフォーメーションの概念を取り入れることにより、水および化学薬品の管理を改善できます。デジタル テクノロジーを使用すれば、処理が適切に行われていることを証明する情報を文書化し、化学薬品、電力、水の無駄の原因を検出するために必要な情報を収集することができます。その結果、工場の生産性が向上し、下水、電力、過剰な化学処理を削減し、業務を文書化して、より適切な報告書を作成することも可能になります。プロアクティブなアナリティクスと需要予測により、たとえば全国的なスポーツ イベントのハーフタイムにおける使用量の急激な増加や大雨の予報に備えることができるため、運用コストを抑え、故障や流出を防ぐことができます。

最新テクノロジーを使用して業界の課題を解決するには、常に運用技術 (OT) と情報テクノロジー (IT) の融合が不可欠です。このため、IT と OT の両グループで、学習が急速に進んでいます。OT と IT の融合による副作用は、IT の専任者が「リアルタイム」、「ノンストップ」、「決定的」といった OT 特有の言葉の意味を学習しなければならないことも意味しています。OT の選任スタッフもまた、最新の IT 基盤へのアプローチを活用することの利点を急速に理解しています。この融合により、専門知識の変化に対応しやすくなり、機器の全体的な可用性が向上し、データ フローが改善されます。これは、レガシー オートメーションの資産の多くがクラウドに接続する、またはエッジ デバイスとして動作するために IT テクノロジーを必要としているからです。リアルタイムまたはリアルタイムに近い連続可用性データは、安全な水をオンデマンドで供給するために、すべての上下水道組織にとって不可欠です。この OT と IT の融合というトレンドにより統合が進み、レガシー オートメーション システムを含むすべての資産に出入りする情報の流れが向上します。また、クラウド コンピューティングやビッグデータ アプリケーションの導入を簡単にし、計画外ダウンタイムを排除する助けにもなります。

さらに、OT と IT の融合により、エッジ コントロールを実現できます。エッジ コントロールはコンバージド コントロール アーキテクチャであり、施設はこれを利用してオンプレミスでもクラウド経由でも必要に応じて資産を管理できるというクリティカルな能力を手に入れることができます。これには、リモート アクセス、高度なオートメーション、オペレーターによる手動制御機能を備えたコネクテッド コントロール プラットフォームが含まれます。特にミッションクリティカルなアプリケーションにおいては、サイバー セキュリティのローカル コントロールとファイアウォール保護により最大の導入効果が得られます。エッジ コントロール アプリケーションは、電力監視、マシン オートメーション、そして監視、制御、および安全管理を行うプロセス オートメーション システムに実装できます。

簡素化された OT/IT インフラを実装した施設では、運用とメンテナンスの担当者が簡単に保守できるソリューションを導入することによって、技術的なリスクとビジネス上のリスクの両方を低下させることができます。OT/IT のインフラにより個別の機器の非常に信頼性の高い統合が実現し、生産に関するエンドツーエンドのシステム情報の可視化と追跡が可能になるだけでなく、効率と分析のためのデータ収集が自動化されます。柔軟で堅牢な OT/IT インフラストラクチャを導入すれば、最短で既存のアプリケーションのニーズを満たし、デジタル トランスフォーメーションを活用してビジネスの課題を解決できます。要約すると、最新の OT/IT インフラは、上下水道施設が処理施設の課題に対応し、品質、安全性、およびコスト削減にプラスの効果をもたらすために不可欠です。

ARC アドバイザリ グループとストラタスは、上下水道組織が直面する運用課題への対応について、共同でライブ ウェビナー(英語)を提供しています。ライブ ウェビナー(英語)への参加、または録画の視聴をご希望の場合は、今すぐご登録ください。

Mark Sen Gupta, Director of Research, ARC Advisory Group

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